2005年10月22日

伊東深水デッサンの世界展

たまたま頂き物のチケットがあったのでのぞいて来た展覧会。美人画のコレクションを持つ名都美術館らしい特別展。美人画で知られる伊東深水の日頃の鍛錬を紹介するというちょっとマニアックな趣向ゆえ、個人的には好きではない深水ながら観ることにした。以下、出かけた日の夜に早速BBSに書いた感想を抜粋。

2875. 伊東深水のデッサン。 桂田  2005/10/22 (土) 23:39

本日、万博のあった長久手町にある名都美術館で「伊東深水デッサンの世界展」を観てきました。
http://www.meito.hayatele.co.jp/

この美術館は規模はそれほど大きくはありませんがいつも日本画の面白い展覧会をやってくれます。で、この伊東深水のデッサンですが、予想どおりと言いますか、おおっと思える作品はありませんでした(伊東深水の作風がイマイチ好みではないので・・・)。
が、やっぱり本画と違ってデッサンは生々しさがあって、画家の手を感じられますね。やはり日本画のせいかデッサンも補助線が極端に少なくてクロッキーの延長のような感じです。しかし、美人画の大家に対して失礼かつ生意気なことを申しますが、伊東深水は人物を描くのは得意ではなかったのではないかなぁと思いました。きっと美人画で名を馳せてから更に充実を目指して西洋の人体デッサンを取り入れたりという試みをしたのでしょうけど、重心もばらばらだったり安定感がなかったり・・・裸婦に至っては苦手意識でもあるかのように線も硬くてむしろ痛々しいぐらいでした。それに対して樹木や農村風景、動物、インドネシアの風俗などはとても生き生きしていて魅力がありました。
伊東深水その人については詳しく知りませんが、女性人物画が評価されたこともあって美人画を描き続けていたものの、実は画壇やコレクターの期待にこたえる為に苦悩しつづけていたのでは・・・そしてその反動のように生き生きとした風景画や静物画を描いていたんじゃないかなぁなんて、そんな想像をしてしまいました。


あまりに主観的に好みじゃない部分を書くのもよくないので、もう少しスタンスを変えてみる。伊東深水のデッサンを観ていると少ない線にも試行錯誤のあとがあって、対象を表現する為の一本の線を探すという大目標があったのかもしれない。一本の輪郭線とまで限定的ではないにせよ、洋画のデッサン(ドゥローイング?)だって主に視覚から、五感を動員して知覚した脳内の対象を正確に描き表すための努力の積み重ねだ。日本画は自分自身が描いたことがないのでいまいち実感がわかないのだけれど、もしかして無知であるが故に見えない深水の魅力がどこかに潜んでいるのかもしれないなぁ・・。やっぱり深水の通俗的な美人画は好みではないけどね。

文責: 桂田祐介 2005年12月3日