
INFOCUS AWARD 2008出品作
このたび、INFOCUS AWARD 2008というイベントに参加しました。詳細は当該イベントのウェブサイトをご覧いただくとして、簡単に説明させてもらうと、「Tシャツ・デザインという形で絵画を発表するコンペ式のウェブ展覧会」で、選ばれた作品は、Tシャツとして商品化・販売されるとのこと。また、開催期間中は気に入った作品のTシャツを受注生産・販売してくれるそうで、万人受けする作品でなくても欲しい人の手元に届く機会がある素敵なイベントです。
ここではINFOCUSのサイトでは字数制限の関係で説明できなかった部分を補足する目的で、出品作の紹介をさせてもらいます。これらを気に入ってもらえて買っていただけたりすると大変嬉しく思います。
No. 1 「最も美しい者へ」

INFOCUSサイト内のページ
このオイルパステルによるリンゴの絵はブログ「一日一画」で2007年10月23日に公開したスケッチです。INFOCUSへの出品にあたっては、No. 2の「ヘラ、アテナ、アプロディテ」とともにギリシャ神話の「パリスの審判」をテーマにしました。
「パリスの審判」はトロイ戦争のきっかけになったエピソードで、英雄ペレウスと海の精霊テティスの結婚式にただ一人招かれなかった争いの女神エリスが、その腹いせに祝宴の中に一つの黄金のリンゴを投げ入れたのが始まりです。そのリンゴには「最も美しい者へ」と書かれていたので、ヘラ、アテナ、アプロディテの3人の女神が自分こそリンゴを受け取るべきという醜い争いをはじめてしまい、仲裁に入ったゼウスが羊飼いの少年パリスに判定させることにしました。その後この3女神がそれぞれパリスの買収に走るわけですが、結果的に「最高の美女を与える」という約束をしたアプロディテの手にリンゴが渡りました。その最高の美女というのがスパルタ王妃のヘレネで、彼女を強奪したものだからヘレネ奪還と懲罰のためにスパルタ軍(+周辺諸国の連合軍)がトロイに遠征した・・・という話です。
話がそれましたが、リンゴの上のギリシャ語はその「最も美しい者へ」です。Tシャツとして身につけると、着ている本人を最も美しい者に与えますという意味にも取れてしまうという遊び心が隠されています。これを着てギリシャ旅行でもすればコミュニケーションのきっかけになるかも? ギリシャでなくても、「これは何?」「実はね・・・」という感じにも使えるかも。「最も美しい者へ」と、敢えて性別を意識しない書き方をしているのはそのあたりの意図もあります。
No. 2 「ヘラ、アテナ、アプロディテ」

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この作品のみが、INFOCUSへの招待を受けてからTシャツになることを意識して描いたオイルパステル画です。「一日一画」では2008年3月24日に公開しました。Tシャツ図案としては、No. 1の「最も美しい者へ」と同様に、ギリシャ神話「パリスの審判」をテーマにした作品です。3つの青リンゴは、争った3人の女神のメタファーになっていて、ギリシャ語の文字列は左から順にヘラ、アテナ、アプロディテです。3つの青リンゴのうち最も存在感のある右手前の転倒したリンゴが、羊飼いの少年パリスによって「最も美しい女神」として選ばれることになるアプロディテです。絵の構成上、1つだけお尻をみせて配置しましたが、そのリンゴが最も卑近な賄賂(?)での買収に成功した美と愛の女神アプロディテのメタファーというのもなかなか意味深かもしれません。リンゴが西洋美術ではポピュラーなモチーフであることと、この女神が西洋美術の長い歴史でインスピレーション源でありつづけたこと(アプロディテはローマ神話ではヴィーナスに相当)は、作者なりの西洋美術への敬意と憧れを象徴しています。
No. 3 「たそがれ時」

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INFOCUS事業の説明にある「作品を、いわゆる平面画としてではなく、実用性のあるTシャツへと変換して社会へアートを提案します」を読んで、いわゆる平面作品でも額装されて展示される実物は印刷物やモニタ上の平面画とは違うじゃないか・・・とへそ曲がりな感想を持ってしまったので、絵画作品のTシャツ・メディアへの応用を、敢えて従来の平面作品の展示を強調することで実現しようとしたのがこの作品です。額装されて展示されている状態をそのまま再現したこの作品は、まさに着て歩く展示として機能するのではないか、平面的なグラフィックデザインが主流のTシャツ・デザインにあって騙し絵的に絵画作品を見せるのは「絵描き」からの強いメッセージにならないか、と考えました。着たときに少しでも自然に見えるように、額とラベルの影も上からの光を想定してつけられています。ちなみに、この作品は作者が2004年に制作した油絵「たそがれ時」で、ケニアのナイロビ市内に住んでいた時に描いたオイルパステル画をもとにした風景画です。
No. 4 「Black Market Baby」

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中央の木炭画は敬愛するミュージシャン、トム・ウェイツの肖像で、U字型にレイアウトされているのは、「彼女は石炭であり続けたいダイヤモンド」と歌うトム・ウェイツのBlack Market Babyの一節です。この謙虚でありながら自信と可能性に満ちたコピーは、「彼女」の解釈次第でTシャツとして身につける人の、控えめでユーモアに満ちた意思表示にもなり得るのでないか、と考えて選びました。なお、肖像画が木炭での制作なのは、石炭(coal)と木炭(charcoal)のウェイツ的な言葉遊びのつもりです。木炭画の作品自体は、ファン・サイトのリニューアルに向けて2004年12月7日に描いたもので、この日付はトム55歳(Ol' '55...苦笑)の誕生日です。


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