2006年2月24日

菱餅

時刻: 23:59 | 技法: ペン

もうすぐ桃の節句のひなまつりだからというわけではないのですけど、いただきものの菱餅を描いてみました。これを選んだのは形がわかりやすいかなぁと思ったからです。
というのも、一昨日の本の絵でちょっと触れた線遠近法の限界について実験してみたかったもので・・・。
まずこれは普通に机の上に置いた菱餅を簡単にスケッチしたものです。これを描いた後に片目で見ながら描いてみました。

いわゆるWeb拍手です。→

並べて描いてみましたが、微妙に大きさが違ってしまったのでステレオ視はかなり困難かと思います。それぞれ片方の眼をつむって描いたものです。
見る位置が眼の間隔分だけ違うので全体的にそれだけ角度が違います。これをいっぺんに脳は処理して見える角度のズレを遠近に置き換えているということになるかと思いますが、なんとかその感覚に近づけないか・・というワケで交互に表示させてみました(↓)。

ちらちらしてしまってゴメンナサイ。
言いたかったのは、同じものを見ていても左右の眼でこれだけ違うのに果たして平面に奥行きを表現するための線遠近法(透視図法)がどこまで再現的であるのかという疑問があるということです。
平面に描く以上は三次元の厳密な再現は不可能ですから両眼で捉えたものをどういう立場でどういう描き方をするか摸索することになるかと思います。だから時代によって人によって表現が多様化するのだと思いますけど、リアリズムを多様な知覚の再現と言い換えると五感(もしかして六感も?)のどれを優先的に表現するのかでいくらでも変わってきそうです。つまるところ絵の鑑賞でも好みが別れるのは画家の表現したかった感覚と観る側が持つ知覚の方向性がどのぐらい一致するのか、というところに依るのではないかというような気がします。

ええっと、ここまで書いておいて今更ですが、片目だけで見ながら描くのはかなり難しかったです。今日片目ずつ閉じて描いたものもどれだけ実際の片目の視野に忠実なのかはわかりません。こういった視差の話は写真でやったほうが良いかもしれませんねぇ。
こうして見たものは一瞬の視野であって実際はきょろきょろ見渡したりするものです。その人の見渡す時間や、それまでの経験などからとらえる視覚以外の感覚など、そうした描き手の感覚が絵画にこめられていると思うと、いくら描いてもいくら観ても興味が尽きることはないなぁ・・・などと思ってしまいます。

いただいたご感想とそのお返事など

とても楽しい実験的な内容ですね。いろんな事が期待できますね。現実に見ている世界が実は脳の中で合成した幻というのはなんとも象徴的な事ですよね。

投稿者 : sghr | 2006年2月25日 19:26


sghrさん、
どうも回りくどい書き方になってしまって失礼いたしました。あと、平行な壁面が交わる消失点はどうなっているのかとか、違う距離の点を見るときに知覚する距離(相対距離)と現実の距離(絶対距離)はどのぐらい違うのかとか、それをつきつめると直線は本当に直線なのかとか・・・まぁいろいろ思いつくところはあるのですが、ヒトが脳内で認知する共通の現実があるのも事実ですから、おっしゃるとおりいろんなアプローチが期待できます。近代以降の絵画表現の多様性ももしリアリズムの解釈の違いだと考えるとこのアプローチの違いなのかなぁと思わされますね。

投稿者 : 桂田 | 2006年2月26日 00:51


いえいえまわりくどくはありません。自分の雑な文章に比較して桂田さんのコメントは非常に丁寧かつ知的好奇心豊かな文章です。一つのテーマを深く探求していく姿勢はさすが研究者さんですね。視覚の秘密に迫るテーマはさらにこんごの展開が楽しみです。は、速く続編を〜!!(わがまま)

投稿者 : sghr | 2006年2月26日 15:27


sghrさん、
いつものことなのですが、どうも言いたいことをうまく文章で書けなくて困ってしまいます。"Art"という語はもともと学問の意味もありますからねぇ、なんだか同じスタンスで接してしまいます・・・。
続編はまたそのうち、忘れた頃にでもやってみますからどうぞ気長にお待ちくださいませ・・・。

投稿者 : 桂田 | 2006年2月26日 22:13


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